十六種類の草根木皮をみりんに漬け込んだ保命酒。福山市鞆町の特産品として江戸時代から三百五十年の伝統を誇る健康酒だ。岡本亀太郎本店(福山市鞆町)は和歌山県産の南高梅や福山市産のアンズを使い、保命酒の甘みに果実の酸味がやさしく溶け合った保命酒リキュール「梅太郎」「杏子姫」を発売した。
女性にも飲みやすい新商品は新たな顧客層を開拓しつつある。「北前船によって鞆の浦から全国へ届けられ、ペリーやシーボルトも味わった。そんな保命酒の歴史物語を発掘しながらリピーターを育てたい」と岡本良和専務(39)。土産物で終わらせず、日常生活で気軽に楽しんでもらえる酒を目指し、現代的な味わい方を模索している。
地域資源活用促進法の認定を昨秋受け、「地域資源活用売れる商品づくり支援事業」に採択された。近く首都圏と中国地方で三十〜四十歳代の女性五百人に「梅太郎」と「杏子姫」のサンプルを配り、味や飲み方について意見を求める。PRを兼ねた市場調査の結果を踏まえ、専門家の協力を得て、販路の開拓、新商品開発などに取り組む。
岡本専務は「福山を出るとまだ知名度が低いのが現状。『福山といえば鞆と保命酒のある町』と全国から認知されるようになるのが夢」と力を込める。
【保命酒】
江戸時代初期、中村吉衛門が大阪から長崎・出島へ薬草の買い付けに行く途中に備後の地酒「吉備の旨酒(うまざけ)」を見つけ、中国の生薬を漬け込んだのが始まりとされる。中村家は「十六味地黄保命酒」として鞆で醸造を開始。甘みと薬効が重宝され、福山藩の保護を受けた。明治時代に入り新規事業者が参入。現在は独自レシピを持つ町内4社が製造販売。2007年1月、鞆保命酒協同組合(岡本純夫代表理事)を設立。「鞆保命酒」として地域団体商標取得を目指している。