岡本亀太郎本店(同市鞆町)の岡本良知専務(36)と中島商店(同市御船町)の中島基晴専務(37)はともに家業を継ぐため脱サラし、Uターンした。「福山にはこれという土産物がない。まずは伝統の保命酒を売り込み、福山を知ってもらおう」と意気投合した。
今月21日、2人は静岡県下田市の黒船祭の会場に保命酒を抱えて駆けつけた。来日したペリー提督の子孫たちを前に、保命酒の歴史や成分を説明した。評判は上々。デザートに出した保命酒ジェラートも好評だった。下田の料理店からは「食前酒として使ってみたいとの申し出もあった。

ペリー提督は日米和親条約締結後、幕府が開いた宴席で保命酒を振る舞われ、感嘆したとされている。偶然、中島専務がニュースで子孫の来日を知り、「保命酒を広める好機」と、関係者に面会を直談判した。熱意が伝わり、トントン拍子で実現にこぎつけた。
岡本亀太郎本店は2月、梅酒「梅太郎」の販売を始めた。岡本専務が果実酒用の瓶で試作を重ね、商品化に成功。評判は上々だ。昨年は180リットルの保命酒に1トンの梅を1カ月漬け込み、約7カ月熟成させた。今年は量を増やして6月に梅を漬け込む。新たな味を求めて、地元産のアンズを使った「杏太郎」の商品化にも取り組む計画を立てている。
ジェラートやゼリーなど保命酒を使った商品開発は、中島専務が手がけた。市内の洋菓子店や製菓会社にアイデアを持ち込み、協力を得て5点を商品化した。「福山ばら祭」の会場でも販売し、アイスキャンディなどはほぼ完売。今も次の新商品の試作を重ねている。
江戸時代、全国的な人気を誇った保命酒も、知名度はいま一つ。鞆地区を除けば、取り扱っている店も少ない。今後は県内外の百貨店などをまわり、販路拡大に力を入れる方針だ。2人は「今は小さな動きだが、やがては行政や経済界を巻き込んだ大きな流れにしたい」と意気込む。